瞑想 方法 入門 ◆(究極の瞑想)◆ 悟り 解脱 Meditation Ultimate

滅尽定とニルヴァーナ

 滅尽定

無色界の禅定(非想非非想処)の先に、滅尽定(滅想定、滅受想定、想受滅とも呼ばれる)がある。これは、瞑想とも禅定とも呼べるかどうかもわからない状態である。すべての想いが滅した状態である。
これは色界や無色界での禅定ではない状態で、心の働きが一切尽きてなくなり、全く平穏静寂な、心のあらゆる動きが全く止滅した状態とされている。
想受滅では、心の状態が全く止滅し、身体のはたらきもその間ほとんど止まる。飲食や排泄は、もちろん、呼吸もほぼなくなり、心臓の鼓動も微細になり、肉体の活動全体がほぼ完全に休止状態となる。これを外部から見ると、瞑想の体勢で座っていても、まるで生きているのか、死んでいるのか、分らないような状態となってしまうのである。


滅尽定の中では、心のあらゆる動きが全く止滅している(ある意味、意識がない)ので、当然ながら滅尽定から醒めることを意識することもできない。滅尽定の間は、心のはたらきは何もなく、瞑想の最中に出定しようかなどと考えることもできないのである。
ではどうやって滅尽定から戻ることができるのかということだが、あらかじめ、いつ滅尽定から醒めるかを決めておくのである。決められた期間後に、滅尽定から醒めるのである。そうでないと禅定から醒めなくなってしまう。
滅尽定の状態のままで居続けられる期間は、最長七日間という。

滅尽定は在家修行者にはまず無理な状態であり、出家修行者でも難しく、滅尽定に到達できる人はまれである。滅尽定は阿羅漢(アラカン)しか達することができないといわれる。さらに阿羅漢(アラカン)になってしまうと、普通人の生活はできなくなるという。




 ブッダのニルヴァーナ

仏陀の亡くなるころのことを記述した経典である南伝の大パリニッパーナ経(大涅槃経)によると、不思議なことに最後にニルヴァーナに入る時に、禅定(瞑想)の最高の状態である非想非非想処(有想無想定)、あるいは滅尽定から入ったのではないことである。
非想非非想処(有想無想定)まで至ったが、またそこから初禅(第一禅)へ戻り、さらに第四禅へと至って、最後にニルヴァーナ(最終的な肉体のない解脱)へと至っている。

まず最初の禅定では、色界の初禅から第四禅へ至り、さらに無色界の空無辺処から非想非非想処へと至って、さらに最後に滅尽定まで入る。つまり次のようになる。

初禅 → 第二禅 → 第三禅 → 第四禅 → 空無辺処 → 識無辺処 → 無所有処 → 非想非非想処 → 滅尽定

そして今度は、逆に最後の滅尽定から、無色界の非想非非想処から空無辺処まで戻り、さらに色界の第四禅から初禅まで戻る。つまり最初の禅定である初禅まで戻るのである。

滅尽定 → 非想非非想処 → 無所有処 → 識無辺処 → 空無辺処 → 第四禅 → 第三禅 → 第二禅 → 初禅

再び、色界の初禅から第四禅へ至り、この第四禅から直接ニルヴァーナへと入り、ブッダは肉体を捨て去ったと記述されている。

初禅 → 第二禅 → 第三禅 → 第四禅 → ニルヴァーナ

再度、初禅から至った第四禅から、今度は無色界の禅定へとは進まず、直接ニルヴァーナへと入っている。無色界の最高の禅定である非想非非想処や、あるいは滅尽定からニルヴァーナへとは入ったのではない。なぜこのような面倒な過程を経て、ニルヴァーナへといたったのであろうか。このような話が、どうして経典に残っているのだろうか。不思議な感じを受ける話である。
根源的な煩悩である五上分結を断滅していれば、色界の第四禅からニルヴァーナへと入れるのである。
ここにも仏教とヨーガなどの解脱との違いの一つがある。ヨーガなどでの高い禅定の境地においても、色界、無色界に対する執着をまだ克服していない。色界、無色界に対する執着まで捨て去って、はじめてニルヴァーナへと入れるのである。
インド哲学(ヴェダーンタ哲学、ヨーガ哲学など)の体系が、一つの哲学体系として完成したのは、ブッダが生存していた頃より、かなり後のことである。しかしながら、その原型はブッダの時代から、ウパニシャッド哲学のような形で存在している。ヨーガの解脱と仏教の解脱にはこのように違いが認められる。


1.有余依涅槃(うよえねはん)
肉体のある状態でのニルヴァーナである。
生きている間は、肉体を維持するための、最低限の食欲、睡眠欲などの欲望は必要である。

2.無余依涅槃(むよえねはん)
肉体のなくなたった状態でのニルヴァーナである。
肉体を維持するための、最低限の食欲、睡眠欲などの欲望もなくなった状態である。
よってこの状態では、肉体を維持することはできない。


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